特別受益や寄与分については、いつまでも主張することができるのでしょうか。今回は、相続法改正によって新たに設けられることとなった特別受益や寄与分の主張期間の制限について説明させていただきます。
1 特別受益とは
まずは、特別受益について説明いたします。
特別受益とは、一部の相続人だけが、亡くなった方から特別に贈与などの利益を与えられていた場合の、その利益のことをいいます。この特別受益に該当する贈与等については、遺産の総額に含まれることとなり(「持ち戻し」といいます)、特別受益を受けていた相続人の具体的相続分は、その特別受益を差し引いたものになります(民法903条1項)。公平な遺産分割のために用意されている制度です。遺産分割協議の中で、特別受益を受けていない相続人から主張されることとなります。
2 寄与分とは
次に、寄与分についても説明いたします。
寄与分とは、親族関係から通常期待される以上に亡くなった方の財産の維持又は増加について特別の貢献をした場合の、その貢献分のことをいいます。この寄与分に該当する貢献については、遺産の総額から控除され、寄与をした相続人の具体的相続分に加算されることとなります(民法904条の2第1項)。こちらも公平な遺産分割のために用意されている制度です。遺産分割協議の中で、寄与をした相続人から主張されることになります。
3 特別受益や寄与分の対象となる行為の範囲
改正前の民法では、これらの特別受益や寄与分の対象となる行為については、特に、期間制限は設けられていませんでしたので、10年以上前の特別受益や寄与分についても、別途立証の問題はありますが、遺産分割協議においては主張可能となっていました(ただし、遺留分の計算の場面では、特別受益については相続開始前10年以内の期間制限がある場合もございます。)。
4 特別受益や寄与分の主張期間の制限(令和5年4月1日施行)
しかしながら、令和5年4月1日に施行された法改正で、この特別受益や寄与分は、相続が開始してから、10年を経過した場合には、一定の例外(家庭裁判所に遺産分割の調停等の申立てを行っている場合や、遺産分割の請求ができないことについてやむを得ない事由がある場合など)はあるものの、原則としては主張できないこととなりました(民法904条の3)。相続開始の10年以上前の特別受益や寄与分についても、相続開始後10年以内であれば主張可能ですが、相続開始後10年が経過してしまうと、相続開始直前の特別受益や寄与分であっても、主張できなくなります。
なお、経過措置として、相続開始から10年が経過する日か、あるいは法改正施行時から5年が経過する日のいずれか遅い日までは、主張可能とされていますので、平成30年3月31日以前の相続の場合は、令和10年3月31日までは主張可能となっています。ただし、同日までに遺産分割協議が完了していない場合は、調停の申立てが必要ですので、ご注意ください。
5 まとめ
このように、遺産分割協議においては、特別受益や寄与分の主張可能期間に制限が設けられるようになりましたので、そのような主張を検討される方は、速やかに遺産分割協議に取り掛かるべきでしょう。特別受益や寄与分の判断は難しい面もありますので、一度、弁護士に相談されてみてはいかがでしょうか。