弊所は、金融機関・M&Aの専門会社等との幅広いネットワークを基礎として、企業規模や業種を問わず毎年10件以上ものM&A案件を取り扱っております。企業価値を高めるための戦略的M&Aのみならず、近時は、後継者に対する事業承継のためのM&Aも盛んです。企業の発展のためだけではなく、企業(或いは事業)そのものを守るためにM&Aは重要な手段となっており、弊所は弁護士という立場から、M&Aのスキーム相談から始まり、デューディリジェンス、各種契約書の作成等の全般の支援をさせていただいております。
2022.10.26M&A
M&Aの方法①(株式譲渡、事業譲渡)
M&Aの方法は様々です。株式譲渡、事業譲渡、会社分割、合併、第三者割当増資、株式交換・株式移転等があります。ここでは、株式譲渡と事業譲渡の概要について説明をします。
株式譲渡は、株式譲渡(すなわち株主の交代)によって、会社の所有者を変えてしまうというものです。会社法上は、株式譲渡につき、譲渡承認などの手続を行う必要がありますが、会社に帰属している従前の権利義務がそのまま残る形になりますので、他の方法と比較すると手続としては簡便ではあります。他方、株主が多数存在しているような場合には、集約に時間を要し、又は大きな金銭的負担となることがあります。
事業譲渡は、譲渡人が事業の全部又は一部を譲受人に対して譲渡する手続です。譲渡人や譲受人において、それぞれ株主総会の特別決議が必要になる場合があります。
株主が交代するわけではありませんので、会社自体は自らの手元に残すことができますし、一部の事業のみを譲渡することもでき、資産や負債についても自由に選択して承継させることができます。潜在的な債務を遮断できるというメリットもありますし、株式が分散していても手続をとることは可能です。
他方、契約上の地位を移転させたり、債務を引き継がせたりするには、債権者の同意が必要になりますし、当該事業にかかわる従業員との雇用契約が移転するわけではありませんので、転籍同意をとるなどの手続も必要になるため、売り手側の負担は小さくありません。
各手続にはメリットデメリットがありますので、それぞれ実態にあわせて適した手続を選択することが重要です。