令和6年10月1日施行!景品表示法の確約手続について

1 確約手続の概要とメリット

令和5年の景品表示法の改正に伴って、確約手続という制度が導入されました。

この制度は、優良誤認表示等の疑いのある表示等をした事業者が自ら是正措置計画を申請し、内閣総理大臣(運用は消費者庁)から認定を受けたときは、当該行為について、措置命令及び課徴金納付命令の適用を受けないこととすることで、迅速に問題を改善する制度です(改正後景表法第26条~第33条)。

確約手続は独占禁止法にも同様の制度が設けられていますが、景品表示法上の確約手続は、違反被疑行為(景品規制・表示規制の違反)について、景表法違反の有無を明らかにせずに、消費者庁と事業者が合意により自主的に解決する点に特徴があります。

つまり、措置命令等が出された場合には、消費者庁より違反の具体的内容も含めて公表が行われますが、違反事業者として公表されることによるレピュテーションリスクの影響は非常に大きく、場合によっては事業継続自体も難しくなる場合もあります。他方、消費者庁としても措置命令等を行うために慎重な調査や手続が必要になり、命令までに時間がかかる場合が多いですが、その間は仮に一般消費者の誤認を生じさせる表示が継続していたとしてもこれを解消できない状態が続くことになります。

そのため、違反が疑われる場合、事業者としては確約手続に基づく自主的な是正措置を行うことで、処分である措置命令等を前提とした事業者名公表が行われることを避けることが可能となりますし、消費者庁としては確約手続通知や確約計画を通して、事業者が自主的な是正措置を行う余地を残すことで、違反の疑いがある表示に対する早期是正を実現することが期待できます。一般消費者の視点から見ても、事業者が自主的かつ迅速に是正を行うことで、一般消費者に誤認を生じさせうる表示をいち早く解消させることができ、一般消費者の利益を図ることもできるというメリットもあります。

2 確約手続の流れ

確約手続の流れは以下の通りです。

(1)消費者庁による調査開始

(2)消費者庁による確約手続通知

①違反被疑行為の概要、②違反する疑いのある又はあった法令の条項、③違反被疑行為及びその影響を是正するために必要な措置の実施に関する是正措置計画等の認定の申請をすることができる旨が記載される。

(3)事業者による確約計画の作成と申請

(4)消費者庁において措置内容の十分性(行為や影響を是正するために十分な内容であること)と措置実施の確実性(計画が確実に実行されうると見込まれること)を満たす場合と判断した場合には、確約計画の認定が行われる。

(5)措置命令、課徴金納付命令が行われない。※確約計画の実施

上記①から⑤までの各手続に関する具体的な内容及び消費者庁における運用基準は、以下の通り公表されていますので、こちらもご確認ください。

確約手続に関する運用基準(令和6年4月18 日 消費者庁長官決定)

https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/assets/representation_cms216_240418_04.pdf

3 事業者の視点から見た実務的なポイント

当該制度の利用を考えた時に、事業者側の視点から見たポイントは以下の通りです。

(1)確約手続通知前の対応

前述のように、手続きは消費者庁の「確約手続通知」から始まります。

実際の運用の中では、消費者庁からいきなりこの通知が届くわけでなく、問合せという形などで違反の疑いが事業者に知らされるものと思われます。

そこで、事業者としては、確約手続を利用するか否かをまずは検討することになります。つまり、表示内容や違反の事実の疑いに関する指摘内容を検討した上で、確約手続を利用した方がよいのか、それとも違反していないことを前提に争うのかを検討することになりますが、その際には最終的に違反とされる可能性がどの程度あるのか、違反と認定された場合はどの程度事業への影響が見込まれるか等を含めて検討することになります。

(2)確約手続を希望する場合の消費者庁との協議

その上で、利用者が確約手続きの利用を希望する場合には、今回のケースが確約通知の対象事案であることの説明を消費者庁に行うことになります。

その際には、今後の確約計画によって早急に是正を行う意向であること、確約計画の方針を説明することに加えて、悪質性があると確約手続によることが不適当であると判断されるため、これまでの自社内の表示等の管理措置が十分であって悪質性のある事案ではないこと(故意的な違反ではなく過失に基づくものであることなど)を説明するという点がポイントになると思われます。

(3)確約計画の作成

上記の説明によって消費者庁が確約手続による対応が適切であると判断した場合には、事業者に対して確約手続通知が行われますが、それを受けて事業者は、確約計画の内容の検討と立案を行います。

どのような計画が考えられるかについては、上記の運用指針においても一部具体例が公表されていますが、どこまでの内容を実施すべきかについては、自社の意向も踏まえつつ、消費者庁の担当者とコミュニケーションを取りながら作成していくとよいと思います。

なお、実務的には一般消費者への全部又は一部の返還が必要となるかが最も関心が高いと思います。現在のところ返金を行うことは必須の要件とはされていませんが、上記運用方針には、「措置内容の十分性を満たすために有益であり、重要な事情として考慮することとする。」とされています。この点に関しては、事例の蓄積も見ながら検討することになるかと思います。            

以 上