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口コミサイトの注意点!

【口コミの注意点】

1 口コミの内容によっては、景品表示法違反になるの?

口コミについては、消費者(利用者)の個人的感想が書き込まれているに過ぎない場合には、景品表示法上の問題は生じません(景品表示法上の「表示」に該当しないと考えられるためです。)。

しかし、実質的に事業者が口コミ形態を利用して広告宣伝を行っているものといえる場合には、景品表示法上の問題が生じ得ることになります。

2 では、どのような場合に景品表示法上の問題が生じ得るのでしょうか?

消費者庁は、「景品表示法上の留意事項」(インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項)において、「商品・サービスを供給する事業者が、口コミサイトに口コミ情報を自ら掲載し、又は第三者に依頼して掲載させる場合には、当該事業者は、当該口コミ情報の対象となった商品・サービスの内容又は取引条件について、実際のもの又は当該商品・サービスを供給する事業者の競争事業者に係るものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認されることのないようにする必要がある」と記載しています。

そして、具体的に問題となり得る事例として、次の➀~③の事例を紹介しています。

➀グルメサイトの口コミ情報コーナーにおいて、飲食店を経営する事業者が、自らの飲食 店で提供している料理について、実際には地鶏を使用していないにもかかわらず、「このお店は△□地鶏を使っているとか。さすが△□地鶏、とても美味でした。オススメです!!」と、自らの飲食店についての「口コミ」情報として、料理にあたかも地鶏を使用しているかのように表示すること。

②商品・サービスを提供する店舗を経営する事業者が、口コミ投稿の代行を行う事業者に 依頼し、自己の供給する商品・サービスに関するサイトの口コミ情報コーナーに口コミを多数書き込ませ、口コミサイト上の評価自体を変動させて、もともと口コミサイト上で当該商品・サービスに対する好意的な評価はさほど多くなかったにもかかわらず、提供する商品・サービスの品質その他の内容について、あたかも一般消費者の多数から好意的評価を受けているかのように表示させること。

③広告主が、(ブログ事業者を通じて)ブロガーに広告主が供給する商品・サービスを宣伝するブログ記事を執筆するように依頼し、依頼を受けたブロガーをして、十分な根拠がないにもかかわらず、「△□、ついにゲットしました~。しみ、そばかすを予防して、ぷるぷるお肌になっちゃいます!気になる方はコチラ」と表示させること。

3 消費者庁の紹介している事例の検討

消費者庁の紹介している事例➀は、事業者自身が広告を行っている(事業者が第三者を装っているにすぎない)ものですので、当然に景品表示法の規制対象になります。

事例②は、事業者が第三者を介して口コミ情報の対象となっている商品・サービスの評価を恣意的に変動させている事例であり、表現内容に事業者のコントロールが及んでいる事例といえます。したがって、このような観点から景品表示法の規制対象になるものと考えられます。

事例③は、事業者が第三者に自社の商品やサービスの広告を依頼する事例になります。この場合、事業者自身が表現内容を決定した上で第三者に広告を掲載してもらうのであれば、実質的には事業者自身が広告を行っているものと同視できるため、景品表示法の規制対象になります。

他方で、事業者が自社の商品やサービスについて「好評価の口コミを記載して欲しい」などと表現内容の方向性のみを指定して第三者に広告の作成を委託する場合には、事業者自身が表現内容の決定をしているわけではありません。

しかし、この場合も、事業者が自ら表現内容の決定を第三者に委ねていることから、事業者の表示行為主体性は肯定され、景品表示法の規制対象となります。そして、このような場合、口コミを書いてくれる方は、より魅力的な商品に見せようとして、実際のものよりも脚色して表現してしまい、意図せず景品表示法に違反してしまうというケースもあります。

そこで、口コミを委託している場合には、表現されている内容が景品表示法等の広告の規制に違反しないかを事業者にて逐一確認することが必須でしょう。

(参照)

「景品表示法上の留意事項」(インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項)https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/pdf/120509premiums_2.pdf

宮崎勇樹

アソシエイト弁護士 大阪弁護士会所属

略歴
大阪府守口市出身
平成20年 大阪府立牧野高等学校  卒業
平成24年 関西大学 文学部 総合人文学科 インターディパートメント・ヒューマンサイエンス専修 卒業
平成28年 関西大学大学院法務研究科(法科大学院) 修了
令和2年 弁護士登録・弁護士法人飛翔法律事務所 入所

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