労務

従業員代表の選出について

【相談】

 従業員代表については、会社から指名してはいけないと聞いたことがありますが、正しい選出方法はどのようなものでしょうか。

【回答】

 事業場において、従業員の過半数で組織された労働組合がない場合、会社が従業員と労使協定を結んだり、就業規則を作成、変更したりするときには、従業員代表(過半数代表者)を選出しなければなりません。選出は法令で定められた方法による必要があり、これに不備があると、締結した労使協定が無効になるなどのリスクが生じてしまいます。また、従業員代表は、会社全体ではなく、原則として事業場ごとに選出する必要があります。その事業場における労働者の過半数を代表していることが必要です。

従業員代表になるためには、①民主的な手続で選出され、事業場の全従業員の過半数を代表していること、②管理監督者(労働条件の決定など労務管理において経営者と一体的な立場にある従業員)でないこと(ただし、管理監督者も従業員である以上、過半数を判断する際の分母には含まれます。)が求められます。今回のご相談は①に関するものですね。

従業員代表の選出に際しては、投票、挙手、回覧、従業員間の話合いという民主的な方法により、事業場の全従業員の過半数の支持を得ていることが必要です。会社の指名など、使用者の意向によって選出された場合は、従業員代表とは認められません。

 具体的には、まず、選出する目的を全従業員に明らかにし、候補者を募ります(ただし、会社が特定の従業員を事実上誘導したり、指名したりすることは避ける必要があります。)。候補者が出ない場合には、従業員間の話合いで推薦してもらうことも可能です。本来は労使協定の締結など個々の目的ごとに選出することになりますが、年に一度、複数の目的をまとめて定期的に選出するという取扱いも実務上行われているところです。

 その上で、候補者の中から、全従業員の意思を確認して代表者を選出します。投票、挙手、回覧、話合いという方法により、候補者が全従業員の過半数から支持を得ることで、従業員代表となります。なお、メールなどで意思確認を行う際、返信がない従業員を賛成として扱うことは認められていません。本人の意思が確認できない以上、個別に意思確認をする必要があります。その場合、電話や対面などで従業員本人の意見を直接確認し、賛成が得られた場合に賛成として扱うことができます。この点は誤解の生じやすいところですので、ご注意ください。

 従業員代表を適切に選出し、従業員の意見を会社経営に反映させるようにすることで、会社内の風通しが良いものとなり、従業員の満足感も高まるものと思います。ご参考になれば幸いです。

※ 本コラムは掲載日時点における法令をもとにしております。

江崎辰典

パートナー弁護士 大阪弁護士会所属

略歴
佐賀県出身
平成14年 三養基高等学校卒業
平成18年 立命館大学法学部卒業
平成20年 立命館大学大学院法務研究科法曹養成専攻修了
平成22年 弁護士登録・弁護士法人飛翔法律事務所入所
平成29年 同事務所のパートナーに就任(現職)

関連記事

カテゴリー

アーカイブ